■くまとの出会い■
「それ」との出会いは一冊の本の中だった。
本と言っても専門書のたぐいではなく、色々なコレクターズアイテムの載った「コレクション・モノ」という本の中でだった。まあ最初の感想と言えば「クマって値段、高っっ!」てぐらいだったけど。それでしばらくして、とあるアンティークショップをのぞいたとき、古いテディベアにまじって新しめのピンクのベアが…。それはあの「コレクション・モノ」で紹介されていたシュタイフの日本向け限定ベア「ベビーマサコ」でした。ついに出会ってしまいました(←ちょっとおおげさ)。運命の出会いってやつです(←いやかなりおおげさ)。2万円以上もしたし、ちょっと迷ったけど結局買ってしまいました。これが結構かわいくて、もうハマってしまったようです。海外の有名アーティストのものから無名の日本人アーティストまで、一体また一体とベアが増えていきました。
とは言え今までの経験から、何でもかんでも集めるやり方はたいてい後から見ると、失敗したと思える物まで集めてしまうので、本当に気に入ったベアだけを買いましたよ。シュタイフのベアのシリーズとかも集めようかと考えたけど、さすがにそんな金銭的余裕はないし、それに何だか同じ様な顔ばかりで…。テディベアのイベントなど幾つか見て回ったけど、まさにどれも「同じ様な顔ばかり」と言う状況。だからベアを選ぶ時はいかに個性的かという事を第一に考えて集めました。このあたりの事が後のベア作りに大きな影響を与えるのですが…。
それまではテディベアを自分で作ろうとは思いもしなかった。馴染みのベアショップでの教室に誘われるまでは。
「それ」は今や自分で作れるものとなった。最初は教室の型紙を使っていたが、足を少し延ばしてみたりと手を加えたところ自分でも簡単に出来そうだったので、試しに一つ作ってみたら簡単に出来ました。でもそれは出来たというだけで、色々バランスの悪いベア(腕の位
置が何だか上すぎ…だったり)になってしまいました。細かく修正したりデザイン画を描いてみたり、ただテディベアを作るだけなら人の作った型紙を使えばいいけど、どうせ作るのなら自分オリジナルのベアを作りたい。
こうして試行錯誤の日々が始まったのでした。
■はらいそ■
はっきり言って即、ゆきずまりました。色々スケッチしたりしてオリジナルデザインを考えてみたけど、やっぱ簡単には出てきません。「テディベアとしての完成されたイメージ」がさまたげになって、何をやってもどこかで見たようなものしか出来ません。シュタイフの功罪といった所でしょうか?
しかしアイデアの元は意外な所にありました。なにげなく見ていたMacの本に載っていた、さえない男と天才犬の掛け合い漫才みたいなマンガが目にとまりました(アメリカのものだったか?)。で、その犬が首のない丸い体をしていて、しかもやけに簡単な線で描いてあって、これだーって訳でさっそくそんな感じのデザインのベアを作ってみました。しかし首がないって事は胴体に直接顔があるって事で、もうこれは従来の型紙では出来ませんのでゼロからの製作でした。ところがこれが思いのほか出来がよく、自分のテディベアの進むべき方向が決まりました。
ある程度数も出来た所で、他のベア作家の皆さんのように自分のベアにも「ブランド名」をつけようと思いました。そこで考えたのが「はらいそ」。実はこれ、細野晴臣のアルバムのタイトルからつけさせてもらいました。意味はポルトガル語の「PARAISO(パライーソ)」。英語のパラダイスのことで、隠れキリシタンによって「はらいそ」と言われていたものです。テディベアを可愛いだけの愛玩物ではなく、深いテーマ性をも表現できるモノとして作りたい。それに日本人が作るのだから日本的(てゆうか東洋的)なベアを作りたい。日本的といってもベアに着物を着せただけの安易な日本風じゃなく、西洋文化の産物であるテディベアを日本文化とミクスチャーする事により、真に日本テディと言えるベアを作りたい。そういえばこんな言葉がありましたね…「和洋折衷」…まさにそれです。